「小児外科」という診療科を初めて聞かれる方も多いと思います。少し大きめの病院へ行っても「小児外科」はあまりありません。それだけ専門性・希少性がある診療科と言えます。
小児外科の対象患者さんは(胎児期)生直後から15歳ぐらいまでと幅広く、これらの時期の患者さんは精神的にも肉体的にも成長発達過程にあるため、それぞれに適した治療法が必要になってきます。また原疾患の治療は勿論、開腹創から術後の機能に至るまで、患者さんのQuality of Life(生活の質)の向上に最大限の努力を払わなければいけません。私たち小児外科医が診る疾患は風邪から救急疾患まで非常に多岐にわたっています。しかし敢えて定義づけると「小児(原則15歳以下)において先天的もしくは後天的な原因による器質的機能的障害が存在し、外科的処置によって機能障害が改善する疾患」となります。また15歳以上の患者さんでも、原疾患が小児外科疾患であれば小児外科医がフォローアップしていくことが最善だと考えています。
近年医療は細分化・専門化され、私たち久留米大学小児外科では主に「小児呼吸器外科」・「小児消化器外科」・「小児腫瘍外科」・「周産期医療における新生児外科」を診療していますが、それ以外にも私たちの専門分野である輸液代謝栄養領域を活かし、他科と連携した周術期管理、重症管理、呼吸・循環管理などを行っています。
いろいろ難しいことを書いてきましたが、まずは何でもご相談下さい。
主な対象疾患
新生児疾患
食道閉鎖症、鎖肛、腸回転異常症、尿膜管遺残症、小腸閉鎖症、腹壁異常、横隔膜ヘルニア
日常的に見られる疾患
鼠径ヘルニア・精巣水瘤、停留精巣、包茎、乳児痔ろう、臍ヘルニア、肛門周囲膿瘍、慢性便秘症
小児腫瘍
神経芽腫、Wilms腫瘍、リンパ管腫、肝芽腫、奇形腫、血管腫
胆道系疾患
胆道閉鎖症、胆道拡張症、門脈圧亢進症、胆石症
消化器疾患
虫垂炎、メッケル憩室、ヒルシュスプルング病、消化管ポリープ、腸重積症
呼吸器疾患
気管支原性嚢胞、先天性嚢胞状腺腫様形成異常、気腫性嚢胞、肺葉性気腫、肺分画症、気管支性嚢胞、pneumatocele
頭頸部疾患
正中頚嚢胞、側頚瘻孔
外傷性疾患